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民俗芸能調査クラブ2014

民俗芸能調査クラブは、ダンサー、演出家、俳優、音楽家などのアーティストが、民俗芸能をリサーチし、自身の活動に結びつけるためのプロジェクトです

富岡八幡宮 水掛祭 萩原


富岡八幡宮 水掛け祭/白河三丁目神輿 町内巡行 - YouTube

調査日:2014年8月17日

調査者:萩原雄太

 

 矢鱈に祭りに行っているが、よく考えたら、自分が住んでいる町の祭りを見たことがない。それはさすがにまずいだろう。なので、富岡八幡宮例大祭に行った。江戸三大祭りとして知られる富岡八幡宮の水掛祭は、3年に一度、各町による連合神輿渡御が行われる。今年はちょうど3年に一度の年にあたり、数十万人の観光客が押し寄せるのだ。人混みが嫌だというネガティブな気持ちを押さえつけていざ行かん。

 

 祭り自体は朝7時からやっているのだが、僕が会場についたのはついたのは14時。すでに、神輿はぐるっと氏子地域を1周し、ハイライトである永代通りを進んでいる。

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 永代通りの4車線を歩行者天国にして神輿が担がれていく。うち2車線は神輿、そして2車線は見物客。神田祭山王祭とともに江戸三大祭の一つに数えられており、1800年代にはあまりの見物客に永代橋が崩落、1400人あまりが犠牲になったという逸話もあるこの祭り。現在でもその人気は衰えていない。

 行列の構成は、「木遣り」「手古舞」に「神輿」が続き、神輿の後ろには何十人もの担ぎ手がいる。各町とも大きくは変わらないが、ひょっとこやまといがいたり、大漁旗や鳴子を持っていたりと、その編成には微妙に差がつけられている。また、どうやら神輿の形も少しずつ違うようだ。これを大きくは同じと見るか、違うと見るかで、祭りの楽しみ方が変わるんだろうが、僕は、大きくは同じと思ってやり過ごす。

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 この祭りの中でも永代通り清澄通りの交差点が、最も盛り上がるスポットになっている(DJポリスもここにいた)。消防団員が消火栓から伸ばしたホースをもって、神輿に水をかけている。消防団員も楽しそうだ。また、ブルーシートを敷き詰めたトラックの荷台に水をたっぷりと入れ、そこからバケツでバシャバシャ引っ掛けている場所もあれば、ポリバケツから水を汲み、洗面器でバシャっと浴びせかける子どももいる。水を頭からかぶれる/他人の頭に水を被せられるというシンプルな振付で、あっという間に非日常が出現してしまうのだからすごい。

 わっしょいわっしょいと威勢よく神輿は進み、50基以上の神輿行列は進行していくのだけど、やや物足りなさの目で眺めていたのは、きっと僕が鮫洲の神輿を見たからだろう。鮫洲の神輿は別々の力のベクトルが拮抗して、一つの動きとなっていた。しかし、富岡八幡宮の神輿は、スーッとよどみなく進行していく。端的に言っていい子なのだ。

 それもそのはず、この祭りの起源は、17世紀、徳川家綱の就任記念に端を発する。そもそもが、権力と結びついた祭りであり、しっかりと管理が行き届いたものだった。そのため、神輿を担いだり、掛け声をかけたり水を浴びたり威勢はいいけど、身体の内側に秘められた力が出現しているようには見えないし、予想外のことが起きることはほとんどない。うちに秘めたる力のような部分ではなく、その派手さ、質量の大きさ=スペクタクルに、人の心が惹かれるのではないか。スペクタクルに対して徹底的に距離を置くへそ曲がりな僕でも、永代通りを通行止めにして神輿が行き交うさまは少しワクワクする。

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 連合神輿渡御が終わると、次は各町に分かれて町内巡行を行う。僕は、せっかくなので、我が家のある白河三丁目の神輿についていく。狭い路地に似つかわしくない大きな神輿。地元の人間も、家から出て、神輿にホースで水をかけたり、バケツの水をかけたりしている。派手さはないけど、こっちののんびりした感じの方が好みだと思った。